だんなさんの治療院のボスと同じ八重山出身のおじいが 「誰か畑やんないかねー100坪あるから自由に使っていいさー」と探していて わーこっちに来る前に描いてた沖縄だ~と夫婦で感動していたんだけど とてもじゃないけど作物を育てに畑に通うほどの余力はないので躊躇していたら とうとうそのおじいが近所の人の車で送ってもらって治療院までやってきてしまったらしい。 それが会ってみたら主人いわく 「ものすごく目がまっすぐできれいでちょっとしあわせになった」そう。 事情があって今一人暮らしで寂しいみたいで 聞いてみると手の痺れがあるというから じゃあ、訪問のリハビリしますかと言うと 「やってみようかねー」ということになった。 で、今朝はそれとは別に、にんじんを掘るところ見せるから 仕事前にとりにおいでということで 私もついておじいのおうちに遊びに行った。 おじいは80歳と聞いていたけど会ってみるとものすごく若くて 話し方も静かで内省的な感じのする だけど逞しくてかっこいいおじいだった。 うちのだんなさんは患者さんと話す時大きい声で話すんだけど おじいは耳も目もこころもしっかりしていて だんなさんの大きい声がちょっとおじいちゃん扱いすぎちゃう感じに見えるくらい。 畑に植わってるにんじんをにんじん抜きシャベルみたいなので一本一本抜いて 「あんまりじょうとうじゃねえな」と言って 今度は木にたわわになってるパパイヤをデッキブラシで5、6こ叩き落してくれた。 おじいはなぜか会ったばかりの主人と私に 「あんたの性格はわかったから言うけど」と言ってこころのうちを話してくれた。 今は不安で夜眠れないそうなのだ。 主人が「鍼はうけたことある?」と聞くと 「あんた鍼できるね?じゃあマッサージより鍼がいいなあ」と言ってくれた。 主人がそういう治療を望んでいるせいもあるけど、沖縄に来てから 不眠や精神不安に苦しんでる患者さんがとても多い。 主人の全身調整はそういった人に特に受けてもらいたい。 おじいは私の目をニコニコ印みたいな目でまっすぐ見ながら 「野菜は買わないで取りにおいで。 コーヒー入れて待ってるからまたおいでね」と言って 家の前でずっと手を振って見送ってくれた。 若いときはサトウキビで生計を立ててたそうだ。 「農業は、大変。ちょっとやそっとじゃもうからないよ」 「もうけるなんてとんでもないけど、でも自分で育てるのって楽しいでしょ」と主人が言うと 「楽しい、って気持ちで出来ることが大事さ、楽しいって思えるならいいさ」と なぜかなにを言っても重みある言葉に聞こえてしまうおじい。