まだFacebookもTwitterもない頃、ミクシィというSNSがネット上に登場して、そこに『数字は天使からのメッセージ』というコミュニティができた。当時はすごく面白くてよくよくチェックしていた。今では数字を見るとだいたいどんなメッセージだったか感覚的にわかるようになっている。さっきチェックしてみたら2006年に始まっていた。
元ネタはドリーンバーチュー氏の「エンジェルヒーリング」で、今では彼女が生み出したカードリーディングなどが定着している。インディゴ、クリスタル、レインボーチルドレンなどの情報も彼女から発していたっけ。
天使からのメッセージはほとんどが優しくポジティブで肯定的な内容だ。くじけそうなときにも優しく後押ししてくれ、すべては良きほうへと向かっていると教えてくれる。それゆえに私にとっては真摯に向き合うというよりは、勇気のお守り的な位置づけだった。
そんな中、ある時こんなメッセージを見た。
【1と0のコンビネーション(100、110など)】 神と天使からの力強い神聖な導きがあなたの思考を変えるように言っています。あなたはより幸福で健康になるように祈っていたかもしれません。もしそうならば、これはあなたの祈りへの応えです。神はあなたの求める解決が、あなたの思考の中に生まれることを知っています。神にあなたの思考の方向を導き、移行の時期に支えてくれるようお願いしてください。
このメッセージを読んだとき、それまでとは違った感触を味わった。力強い神聖な導きが、結局のところ私になにを求めているのかを咀嚼するのが難しかった。実際のところどうなのかは置いておき、私はこのメッセージをこんなふうに読んだ。
『あなたはこれまでもっと幸福に、もっと健康になりますように、と祈ってきたかもしれませんが、そういった思考そのものを変えてください。あなたが本当に望むものがあなたの思考の中に直接的に神からのメッセージとして与えられます。ですから、これまでの祈り方そのものを変えるのです。あなたが正しく祈れるよう、正しく望むことができるようにあなたは変わっていきます。今からあなたはその時期を迎えます。ですからその導きをこそ神に祈るのです。』
つまり、あなたがこれまで考えてきた幸せと本当の幸せは違っているから本物の幸せのほうに導かれるようにこれまでの古い価値観を手放しなさい、と。
健康、富、愛、美、承認されることなど、一見これらを「持っていることが幸福」なのだと私たちは無意識に信じているが、このメッセージはその無意識的な信念にぽちゃんと石を投げ、その波紋は私の心の奥にさざ波を伝えた。
後から知ったのだが、ドリーンバーチュー博士のメッセージは一元論にまで言及していてACIM(奇跡のコース)ともつながっている。私はそれから更に、このコミュで「マスター・ヨガナンダ」という言葉を目にする。知らない、どんな存在なんだろう、と、単純に興味を持って調べ始めたのがヨガナンダとの出会いだ。
「持っていることが幸せ」と言われるとそんなふうに思っていない気がするのだが、この世においての幸せは「持っている、知っている、わかる、できる」つまりgetすることだという前提に語られている。だから多くの人は「もっと」getしたいのだ。
でも本当に幸せをgetするなら私たちは感じなくてはならない。本当に微細なものを感じとるちからを取り戻さなくては。それはある意味、getとは正反対か、無関係のものだ。
私たちはgetという幻想を支えるためにあまりに暴力的に戦ってきた。その暴力と戦いを続けるために、感じとることは不利だ。感じ取ることは優しく、小さく、時に痛々しく、広く、深い。そのちからは本質的であり本流である。
私たちの幸せはこの本流と一体になることだ。望むすべての人に開かれている。