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歌う

歌を歌うという仕事をさせていただき始めてから 3年半が過ぎている。 NYに行ってからまる4年だ。まる4年かぁ・・・ 歌を歌うたびに私の中で何かが生まれたり何かをみつけることができる。 今は毎週3日、一日に12曲を歌っている。 NYでのことをHPに書いていたが 肝心なものすごい体験のところはまだ書いていない。 簡単に書いてしまうのがもったいなくて ちまちまと書いていたら本当になかなかたどり着かなかった。 でも、その時の感覚は薄れるどころか 今すぐにでも再現できるほどに 私の細胞の中に息づいている。 日本ではソウル、という言葉は歌のジャンルのタイトルとして使われているみたいだけど NYでは、特にブラックの人々の間では 歌はソウルがあるかないかに分かれていて ソウルがないものを彼らは認めない、という感じを受けた。 彼らはソウルを求めて街に出る。 そんな彼らが日曜の夜に集まるライブハウスがある。 かの有名なブルーノートの向かいにある ヴィレッジ・アンダーグラウンド。 私は向こうで知り合ったあるガイドのおじさんに、 本に載ってないようなすごいところを教えてあげると言われて 連れて行かれた。 確かに観光客は私たち数名だけで あとは、明日を夢見てステージに上がる人とソウルを求めてそれを味わいにくる ブラックの人々がひしめき合う。 テーブルは予約と行列でびっしり。後方のカウンター前は立ち見で満員電車のようだ。 そこで毎週日曜に行われるのがオープンマイク。 アポロシアターの勝ち抜き戦のような歌合戦だが そこでは特に賞とか肩書きはなく あるのはソウルを求める人たちの賞賛もしくはブーイングの歓声だ。 私は、どんなことがあってもNYで、歌って、何かをつかみたいと心に決めていた。 その日の昼間、バードランドのブランチでお店がガラガラだったため もしかしたら頼めば歌わせてもらえるんじゃないかと思い コーヒーカップを持つ手をぶるぶる震わせながら とうとう言い出せなかったという失態をしていたので 次のチャンスこそは絶対に、何がなんでも逃すまいと決めていた。 チャンスはその夜すぐに巡ってきた。 ヴィレッジ・アンダーグラウンドでは当日のエントリーで出場者が決まるらしく その日はまだ枠があったのだ。 早い。NYに来てまだ1週間ほどのことだ。 エントリーさせて、と、ガイドのおじさんに言った。 おじさんは、そりゃ、できるけど、無謀だな、という感じで当惑気味だ。 ・・・日本人などここにはほとんど出たことがないが ずっと以前に、NYのボイストレーナイーについて数年修行したティーンの男の子が出たとき ここで賞賛を浴びたことがあったよ。・・・ま、どうしてもやるなら止めはしないけどね。 知ったことじゃない。私にはそんな余裕はないんだ。 GOしてしまってから私の心臓は飛び出すか死んでしまうんじゃないかというほどに 大暴れしだした。私は極度のあがり症だった。 エントリーしても順番は一切わからない。 ステージから司会のメラニーが名前を呼んで初めて出番がわかる。 トイレに行くのもドキドキする。 もちろん打ち合わせもリハもない。 メラニーはメタボを通り越してひゃっかん○ぶという感じの体格で しかもものすごいシンガーだ。 バックの演奏者たちも抜群の人たちで 曲名とキーを聞いてその場でほぼなんでも演奏してしまう。しかもうまい。 もう、抜群に。 メラニーを含め、マライア・キャリーのツアーメンバーだという人も何人かいた。 そしてとうとう、その時が来てしまった。 私は待っている間中、過呼吸しながら 極限まで緊張してしまおうとしていた。 緊張の峠を越えてしまう作戦だった。 メラニーがいぶかしげに私の名前を呼んだ。 アズゥ?という感じで。 私がほぼカンペキに舞い上がった状態でステージに上がると 満員の場内から、軽いブーイングが起こった。 「あんた、場所を間違えてない?」といった感じだ。 そうなのだ。そこにいる観客は、観客でありながら たまに会場が盛り上がった時にメラニーが会場にフると 誰でもアドリブでフェイクしてしまうくらい、ハイレベルな観客たちなのだ。 もちろんべらぼうにうまいしすごい。 私はキーボード奏者に曲名とキーを告げようとしたが なんて言っていいのかもよくわからない。 その時私が歌えた数少ない曲から 「オールウェイズ・ラブ・ユー」とキーの「エフ」だけ言うと 彼は、わからない、と言うように肩をすくめる。 完全になめられてる。 私は、負けられない、とばかりに、いつものキーで最初の部分を彼の耳元で歌い始めた。 合っていたかどうか定かでないけれど 彼はその勢いに押されたのか、「わかった、OK」と言って バンドメンバーにキーを伝えてくれて、なんとか演奏が始まったのだ。 何が通じたんだかもよくわからない。 私はとにかく、私の本気の声を出そう、とそれだけに集中した。 私の魂[ソウル]の声。 私が歌いだすと、信じられないことに会場が一瞬静まり返った。 そして、歌が進むにつれ驚きの囁き声が聞こえた。 それから曲が盛り上がると、だんだんと歓声に変わり始めたのだ。 客席から笑顔と拍手と口笛と歓声があふれ それまで動いていなかったミラーボールが回りだした。 そしてシューとスモークが焚かれたのだ。 私は昔やった芝居のワンシーンの中にいるようだった。一瞬それがシンクロした。 バレーダンサーを夢に見て娼婦に落ちぶれたナオミがNYの街に立ち そこに振付師のジェシー・マーチンが現れナオミのために用意した劇場に 彼女を立たせる。 という劇中劇を夢見る、バレリーナからストリッパーに落ちぶれた明美に ヒモのシゲさんが最後の贈り物として そのシーンを演じるというシーンだ。 ミラーボールが回りスモークが焚かれ ヒモたちは盛装して明美を囲んで踊るのだ。 私は何層もの夢を現実にしているような 不思議な感覚に見舞われた。 歌い終わると多くの観客が立ち上がり 私をハイタッチで迎えてくれる。 帰り際にも何人もが「楽しませてくれてありがとう」とか 「あなた、思うにお国ではプロの歌手ね。その声は、ジャズだと思うわ」 「どこのトレーナーについているの?」などと声をかけてくれた。 NYで輝かしい洗礼を受けた私の冒険は続いた。

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