私の大学は当時ひと学年30人足らずで校舎の中心は立派な劇場型のスタジオでした。そこで授業を受け、和太鼓を叩き、年に6回ほどの実習公演があり、ほとんど芝居付けの青春を送ります。
私にとっては天国の数年間でした。
ある朝登校し太鼓に触りたくてスタジオに行くと、音楽がかかり、先輩たちが集まってノリノリで歌っていました。歌詞カードを持っての熱唱です。その光景はよくあることなのですが、その日のその曲は『we are the world』でした。1985年。
最近夫がロックの古典のお勉強と称して古いCDをレンタルし聴いているので、連鎖的に思い出しYouTubeを見てみました。
YouTubeを見て思い出したのは、当時はこういう媒体がなかったゆえに、学校に集まって誰かが入手したレコードや当時まだ新しかったCDというものをみんなで聴いて覚えるという形でわけあったのだということです。からだで覚えて、それを歌うことで楽しむのです。
当時大学には、自分こそが時代を創り世界を変えるのだという空気が静かに満ちていました。その中で聴いたwe are the worldは、あの時の時代そのものであり、私の気持ちと同じでした。
34年が過ぎて、その時の輝きは心の中で褪せることはありません。
しかし、時代は当時の思いを反映するわけではありませんでした。
あのエネルギーは、思いは、未だ世界に反映されてはいません。
わたしたちは世界です。
なにかがそれを覆い隠しています。
いつか、人として当たり前の良心と意思が地球に溢れ、そして根付きますように。
メイキングはとても興味深い内容です。
「エゴはスタジオの外にに捨てていけ」
本気でそうしていたのだろうと想像できます。